政治関係
要人交流と政策協議

 


メキシコと日本の関係には、2010年2月以降、戦略的な側面が加わった。その土台には、共有する価値観と外交関係樹立から130年の歳月が培った連帯感がある。アドルフォ・ロペス・マテーオス以降の歴代大統領は、ただひとりグスタボ・ディーアス・オルダスを例外として、その任期中に一度以上、日本を訪問している。日本からは、1959年以降、8名の内閣総理大臣がメキシコを訪問している。

 

日 付

政 府 首 脳

1959 年   8月

岸信介内閣総理大臣

1962年 10月

アドルフォ・ロペス・マテーオス大統領

1972 年   3月

ルイス・エチェベリーア・アルバレス大統領

1974 年  8月

田中角栄内閣総理大臣

1978 年  8月

ホセ・ロペス・ポルティージョ大統領

1980 年  5月

大平正芳内閣総理大臣

1981 年  10月

鈴木善幸内閣総理大臣

1986年 12月

ミゲル・デラマドリー・ウルタード大統領

1989 年   9月

海部俊樹内閣総理大臣

1990 年   6月

カルロス・サリーナス・デゴルタリ大統領

1993 年  12月

カルロス・サリーナス・デゴルタリ大統領

1996 年   8月

橋本龍太郎内閣総理大臣

1997 年   3月

エルネスト・セディージョ・ポンセデレオン大統領

1998 年  11月

エルネスト・セディージョ・ポンセデレオン大統領

2001 年   6月

ビセンテ・フォックス・ケサーダ大統領

2003 年10月

ビセンテ・フォックス・ケサーダ大統領

2004 年  9月

小泉純一郎内閣総理大臣

2010 年   2月

フェリーペ・カルデロン・イノホーサ大統領

2013 年   4月

エンリケ・ぺニャ・ニエト大統領

2014年   7月

安倍晋三内閣総理大臣

 

ハイレベルの政治対話は、過去10年間にわたりコンスタントに実施されてきた。政府首脳会談あるいは二国間の政策協議メカニズムが開催されている。直近の政府代表会合は2017年5月に、また、多国間問題の政策協議は2018年8月におこなわれた。両国政府代表は、次官ないし審議官であった。


この協議メカニズムは、互いの政策を理解する上で貴重な機会となっている。情報交換や共同イニシアチブの策定合意、さらには、二国間アジェンダや多国間問題の検討、各種国際機関での政策調整などの作業で大いに役立っている。


同様に、両国の議員が参加する各種国際会議の場を通じて、議会間対話にも進化が見られる。連邦議会の上院アジア太平洋アフリカ外交委員会と国会の日本メキシコ友好議員連盟の活動が交流を促進している。


地方自治体間の交流も重要な対話の手段である。現在は、二国間に12件の姉妹提携が存在する。

 

墨日間姉妹都市提携

  1. 1973年:アカプルコ市(ゲレーロ州)と仙台市(宮城県)
  2. 1978年:シウダー・デ・メヒコ[首都メキシコ市] と名古屋(愛知県)
  3. 1978 年:クエルナバカ市(モレーロス州)と大多喜町(千葉県)
  4. 1978 年:アカプルコ市(ゲレーロ州)と御宿町(千葉県)
  5. 1979 年:メキシコ州と埼玉県
  6. 1979 年:トルーカ市(メキシコ州)と浦和市*(埼玉県)
  7. 1980 年:グアダラハラ市(ハリスコ州)と京都市(京都府)
  8. 1981年 :ラサロ・カルデナス港(ミチョアカン州)と鹿島港(茨城県)
  9. 1996 年:シナロア州と和歌山県[友好協定]
  10. 2003年 : クエルナバカ市(モレーロス州)と箕面市(大阪府)
  11. 2013 年:テカマチャルコ市(プエブラ州)と御宿町(千葉県)
  12. 2014 年:グァナファト州と広島県[友好協定]

*2001年の3市合併で「さいたま市」となった。

 

地方自治体間の交流に加えて、広島県は東京五輪2020の事前キャンプ地に立候補して、メキシコ選手団の受入れを決めた。広島市を含む県内9市町村では、2018年から活動が始まっており、合宿で来日した選手達と市民の交流も活発におこなわれている。五輪本番の2020年に向けて、さらに活況を呈すと期待されている。


他方、日本の外交アジェンダにもひとつの節目が訪れる中、二国間関係の深化が予想される。今年2019年半ばには、G20サミット(大阪)の開催が予定されており、国際社会が直面するグローバルな課題を真剣に討議する中で、責務を共有しつつ、団結力を強めて、問題解決に取り組むこととなる。日本政府が準備を進めている国際会議の運営とその成功に向けて、メキシコは協力を惜しまない。


本年のサミット開催をめざす準備会合の中では、「包摂的且つ持続可能な経済成長の維持」を討議アジェンダに組み込むことで、両国の見解一致が見られた、ようである。メキシコとしては、「G20の優先的作業課題として、イノベーションやコネクティビティ、開発のためのインフラストラクチャー、教育を推進する」を提唱する予定である。