経済連携協定(EPA)


二国間の EPAは2005年4月1日に発効した。市場アクセスの改善と投資の促進が主たる目的であった。日本にとっては、対シンガポールに続く第二番目のEPAで あったが、全分野をカバーする本格的なEPAでは最初のものであり、ラテンアメリカとの間に締結したEPAとしても最初のものとなった。

いくつかの メキシコ産品に対する日本の関税引き下げを伴う輸入枠の設定がなされる一方で、日本にとっては、メキシコへ進出していた日系企業に欧米系企業と同条件で競 合できる環境を提供するメリットをもたらした。また、メキシコの産業が必要とする資材(主要品目:自動車部品, 半導体, 資本財)を日本から輸出する際に特恵アクセスを確保するものとなった。これらの資材をメキシコで加工した完成品は、北米及び中南米市場へ輸出された。

EPAで設 立されたビジネス環境整備委員会はこれまでに6回の会合を重ねており、直近では2013年8月12日に開催された。両国の官民代表団がこれに参加し、メキ シコ側は経済省ローセンスワイ貿易担当次官、日本側は外務省若林大臣政務官が団長を務めた。メキシコ側民間からはCOMCEとCNA、日本側民間からは在 メキシコ日本商工会議所と日本マキラドーラ協会の代表者が出席した。

メキシコ側 からは、国家インフラ整備計画、自動車及び電子産業用ハイテク製品サプライヤーや重工業サプライヤーの育成事業、観光促進の計画などが紹介された。検疫及 び植物検疫や知的財産、事案や税制、通関や規格、認証や入国審査などが議題となった。中小企業強化プログラムや産業競争力向上計画などの施策に対する支援 で実現したJICAの協力が高く評価された。

貿易と投資の可能性を拡大改善する上で公的機関と民間代表が協力、連携する必要性が強調された。EPAが提供するビジネスチャンスを最大限活用するためにも、両国民間代表から提起された問題点の解消とフォローアップが重要であると認識された。

EPAは、メキシコの対日輸出と日本の対メキシコ投資を促進することに役立った。2004年から2014年までの10年間に、前者は85.3%、後者は 266%の伸びを記録した。とりわけ、メキシコ産農畜産品は日本市場で大きなシェアを獲得するに至り、20140年には10億ドルの水準に到達した。好調 な実績を反映して、豚肉や牛肉、鶏肉やオレンジジュースなどの輸入枠も、改正議定書の署名(2011年9月23日)を経て拡大傾向にある。